㉓非効率な人間の脳

 大脳皮質の非効率的な構造 

 

人間の創造性を司る大脳皮質は脳の外側にあります。動物の脳は進化の過程で大切な部位から順々に作られました。脳で言えば、脊髄、延髄、間脳といった脳の本質なところは魚類やは虫類でも良く発達しており、ほ乳類のような歴史の浅い動物はその外側に大脳皮質があります。

 

しかし、人間にとって大脳皮質が外側にあるというのは残念な面があります。それは「構造的に非効率」だということです。何故かというと大脳皮質の神経ネットワークは心や意識などの高次な脳機能を生み出す場所です。

 

つまり、綿密にお互いのネットワークを張り巡らせる必要がある場所なのです。その部位が延髄、間脳といった球体をした部分の外側を覆っているので、ネットワークの配線の距離が長くなってしまいます。

 

幾何学的に考えれば、綿密な配線が必要な部分は相互に近い部分に配置した方がいいのですが、大脳皮質は脳球の表面で薄く伸びてしまっているので、長い配線が必要で、非効率なのです[1]

 

ただし、一方で生命に本質的な脊髄、延髄などが脳の真ん中にあるのは、外傷などの怪我から守るという観点からすると合理的ともいえるのです。ちなみに、アルコールの酩酊状態は大脳皮質の活動を抑制します。もしアルコールが延髄などに作用していたら、生命を及ぼしかねず、おちおち飲んでいられないのです。



[1]脳は何かと p78