⑮認知バイアスへの働きかけ  刺激の発生源をコントロール

 

外部刺激とは五感を通じて入ってくる刺激のことでした。これをコントロールするにはどうすればよいか。刺激の発生源をコントロールするのです。

 

苦手な人がいたとします。その人に会うたびごとに脈拍が上がって、心臓の鼓動が早くなり、呼吸も荒くなるという身体の症状(情動)が起きて、それを「恐れ」という感情で知覚します。それは間違いなく不快な情動・感情です。毎回それが繰り返されるたびごとに、その不快な感情が記憶に蓄積されていき、どんどん自分はこの人が苦手だという記憶が強まっていきます。

 

その結果、最初の頃は、その人と話しているうちに会話が噛み合わず、少し苦手意識を感じる程度だったのが、それが繰り返されるうちに、今では遠くからその人の姿を見るだけでも不快な感情を感じてしまうまでにエスカレートしてしまうわけです。

 

下手をするとそういうことが原因で、うつ病にまで発展してしまうかもしれません。外部刺激をコントロールするとは何かというと、簡単です。なるべくその人に会わないようにすることです。そういう不快な情動=感情を引き起こす外部刺激には近づかないということです。そうすることによって、この不快な感情を増強するループから離れることができます。

 

ポジティブ心理学などでは、ニュースを見ないようにしましょうと言われます。ニュースというのは往々にして世の中の悲惨な出来事ばかり流していて、なかなか前向きなニュースはありません。

 

「人間は他人の不幸を喜ぶ」という認知バイアスがあるからなのかもしれませんが、それはさておき、毎日、毎日世の中で起きる悲惨なニュースばかり見ていると、その記憶が蓄積されていき、「世の中は悲惨なものだ」という認知バイアスが形成されていくことになります。

 

そうなると、何事にも悲観的なものの見方が根付いてしまい、前向きな感情をよしとするポジティブ心理学的にはよろしくないということになります。そのため、外部刺激の発生源であるニュースを見ないようにすればよいということになります。

 

もちろん、苦手な人が直属の上司で、会わないようにするということができないというような現実もあるでしょう。しかしこのような自分の脳の構造を理解しておけば、その人との間に見えない壁があると想像して、なるべく外部刺激を自分の中に入れないようにイメージしてみたりすることにより、気分的にはだいぶ楽になるはずです。