⑫「強み」を生かす時代

・加点主義と減点主義

 

強みを強くすることを重視する考え方と、弱みの克服に重きを置く考え方の違いは、リスクに対する考え方と関係します。加点主義と減点主義の違いとも言えるかもしれません。

弱点を克服することを第一とする考え方は、とにかくリスクをつぶしておくことを最優先する考え方です。弱点を克服すれば、マイナスにはならないで済みますが、プラスにもなりません。減点主義の考え方です。

一方で強みを強くするのは、マイナスになるリスクを取りながら、より大きな成果=プラスを目指す考え方です。加点主義の考え方です。

 

・加点主義の時代

日本の高度成長の時代には、大企業と官僚が中心となって、国民全員が平均点をめざせば、結果として成長できたわけですが、今の低成長の時代は、一人一人がある程度のリスクを取りながら、プラスに持って行けるやり方を考えない限り、全体としての成長はあり得ないと思われます。

世の中で成功している人々は、リスクを取って、強みを伸ばしてきた人々です。スポーツ選手や芸術家が、自分の得意なスポーツや芸術を伸ばして来たのはもちろんのこと、ビジネス界で成功している人も、みんな自分の強み、自分の好きなことを伸ばして来た人たちです。

会社のような組織となると、社長は営業が強いけれど管理が弱ければ、副社長に管理が強い人を据えたり、ビジョンを描くのはピカイチでも実務に弱かったら、ナンバーツーに実務に強い人を据えたりして組織として補完するわけです。

それぞれが自分の得意分野を伸ばし、弱い部分は、その分野が強い人にお互いに補完してもらい、少しでもリスクを減らしながら、全体としての成長を図る考え方です。

 

・強みとは


それでは次に強みとはそもそも何なのかを見ていきましょう。

これも様々な定義がありますが、一般的なものとして、「強みとは才能にそれを活かせる知識と技術が合わさったもの」というのがあります。

一番重要なのが才能です。では才能とは何かというと、「無意識のうちに現れる感情、思考、行動パターンで、何かを生み出す力をもつ資質」と言われています。

ここの脳科学の連載を読まれてきた方にはおなじみの通り、その人が生まれつき持っている、あるいは子供の頃の経験、知識として培われて、記憶の中に入った感情、思考、行動パターンが、その人にとって特徴的に利用されたことを指すわけです。

たとえば電車の中にお年寄りが乗ってきた時に、共感性という才能を持っている人は無意識のうちにさっと席を譲るわけですが、共感性という才能を持っていない人は、それに気がつかないままやり過ごしてしまうわけです。