⑪「強み」を強くする3つの理由

今回から強みに関してです。

人は強みをより強くすることより、弱みを克服する方に重点を置きがちだと言われています。その理由として3つのことが上げられます。

1つ目の理由は、ポジティブ感情とネガティブ感情の話でも出てきましたが、人間はポジティブなことよりネガティブなことの方が重要性、緊急性があると考える習性があるという点です。自然を相手に人間が一日一日を生存するのに精一杯であった時代には、逃げ足が遅いとか、木に登れないなどの弱点が、命取りになる可能性もあったわけです。そのためには、まず弱点を克服する必要がありました。

ひるがえって現代です。自然を相手とする生存のための弱点克服ということは、当然ながら必要ありません。一方で現代人の最大の課題は、社会の中での生存競争です。一生懸命に自分の弱点を克服しても、それは自分を平均点にまで持っていく効果しかありません。多様化した現代での生存競争では、自分の特徴を伸ばした方が良さそうです。それではなぜ現代でも弱み克服が中心になってしまっているのでしょうか。

それが2つ目の理由です。これは英語で「中庸の呪い」と呼ばれています。すなわち、学校教育において、自分の不得意科目を克服することが、自分が好きで得意なことに時間をかけるより、圧倒的に重要視されるということです。これは社会に出てからも続いており、普通の会社は、戦力の平均化や平等性の重視から、相変わらず強みの強化より弱点克服に重きを置いています。

一般に社会は相変わらず中庸を好むわけです。

そして3つ目の理由は、我々自身が、自分の欠点を治して伸ばした方が、自分の強みを伸ばすより、効果が大きく効率が良いと考えてしまいがちということです。それは、我々は自分の欠点の方は気がつくけれど、自分の強みは意外と気がつかないことに関係しています。

強みを使っている時は、当たり前のように苦労しないで、自然に使っているので、自分では強みだとは気がつかないわけです。一方で、弱みはそれを使おうとするとものすごく努力を必要とするので、自分の中で印象に残るわけです。

脳科学的に言えば、強みは無意識に使っているけれど、弱みは意識的にしか使えないということになります。

このような理由から、人は弱みを克服する方を重視しがちですが、ポジティブ心理学では、強みの強化を大きく重視します。