⑩ポジティブ感情と幸福

・幸福とは

 

さて、ポジティブ感情を強めるための代表的なエクササイズを5つ見てきました。

ポジティブ心理学では、これらのエクササイズなどを利用して自分のポジティブ度を上げることが、幸福につながるというのが一つのポイントでした。

それではポジティブ度を増やすことだけで幸福になれるかというと、これにはいくつかの考え方があります。

英語で幸福を指す言葉としてはhappiness(ハピネス)とwell-being(ウェルビイング)がありますが、ポジティブ心理学では幸福のことをwell-being(ウェルビイング)と呼ぶことが多いようです。Happinessだと日本語では喜びというニュアンスに近いので、もう少し広い意味でのwell-beingが使われるのかと思われます。そしてwell-beingとなると、英和辞書でも「幸福」の他に「福利」という訳が出ている通り、幸福よりもまた幅広く、直訳の「よく生きる」のニュアンスに近いかもしれません。

そうなると、単に楽しく生きているという状態にプラスして、充実している人生とか、意味のある人生などのニュアンスも含まれていることになります。日本語で言う「生きがい」のある人生が一番近いかもしれません。英語では「生きがい」に該当する単語がないので、アメリカ人のポジティブ心理学者ではwell-beingの真の意味を考える時に、日本語の「生きがい」を引用する人もいるようです。

というわけで、well-beingの幸福には、単にポジティブ度が高い以上の意味が含まれるというのが一般的な考え方になっています。それが何かというと、「生きがい」に該当する部分で、集中できるものがあるとか、意味を見出せることをやっているなどの要素の部分であると言われています。

そしてその部分で出てくるのが次のトピック、ポジティブな特性=強みを活かす、です。

つまり自分の強みを活かせている人は、より満足した、充実した生活が送れていて、結果として成功しているという分析があることから、ポジティブ心理学では、ひとつの大きな分野として扱われています。

弱みを克服することに力を注ぐより、強みを活かす方に力を注いだ方が良いという考え方は、40年も前にドラッカーなども言っていたことであり、それ程目新しいことではないように思われますが、ポジティブ心理学では、人の強みとは具体的にどのような種類ものがあるかとか、強みを活用するにはどのような方法があるかなどが、かなり詳細の分析が行われています。

そこで次回からは、しばらく強みに関して見ていきます。