⑨システム1とは

・システム1 感情的、無意識的行動

 

システム1は感情からそのまま反応するケースです。いわゆる直感的に動くと言われるルートです。人間があとから振り返ってみると失敗しているケースは、システム1で直感的に反応してしまった時が多いと言われています。

 

直感的に反応するシステム1は、私たちの行動の大半を占めています。朝起きてからの行動から言えば、ベッドから出て洗面所で歯磨きして、着替えて、朝ごはん食べて、会社に行くために家を出るまでの一連の行動は、ルーティンワークであってシステム1によるものです。

 

もちろん歩いたり、自転車をこいでいる行動も、ほとんどの時間がシステム1です。でも駅まで歩きながら、今日のランチを何食べようか、仕事の計画は、と考えていることは意識的なことでありシステム2です。すなわちシステム1で自動的に歩きながら、同時にシステム2でランチや仕事のことを考えています。

 

このように習慣化している行動はすべてシステム1ですし、歩いている途中に急にボールが目の前に飛んで来たら、とっさにそれを避けるのもシステム1がやってくれるのです。システム1が無ければ私たちは生きて行けません。瞬間、瞬間の行動をすべて考えていたら、何もできないわけです。ほとんどの行動が自動的に行われるからこそ、我々は生きていけるのです。

 

こうしてこの文章を読んでいるあなたも、ほとんど努力せずに文章を読み進んで理解しているはずですが、それがシステム1の反応の連続です。一字、一字を読んでいる一つずつがシステム1だとも言えますし、実は多少の字は読み飛ばしていても、文章の大体の意味が瞬時に理解できるのもシステム1のおかげです。1文字くらい誤植があっても気がつかないのはシステム1の認知バイアスのせいです。たまに私の説明がへたくそで、意味がわからず読み返して考えている時は、システム2が入り込んできます。

 

このように便利なシステム1が、一方で認知バイアスのおかげで様々な間違いを犯してしまうということもすでに書きました。人を外見で判断してしまうことなんかそのひとつです。政治家の選挙はその典型だと言われています。鳩山さんや管さんが当初は人気があったのもそうですかね。一方で、現在の自民党幹事長の方なんか、それで損しているかもしれないですね。

 

社会的な認知バイアスとしては人種差別や男女差別なんかも上げられますし、災害の時に理屈に合わない行動をしてしまうのも指摘されます。心理学はほぼすべてこのシステム1の研究なのです。 

 

システム1の作用で、文字を読むとか、何か思い浮かぶとかの絶え間ない刺激に対して、ほとんどが無意識に反応して行動しているということは、言い方を変えれば、我々は絶え間なく、一瞬一瞬に選択を繰り返しているということになります。

 

この文章を読んでいる最中は、絶え間なく、この文章を読み続けるという選択を繰り返しているわけで、文章の途中でふと読むのを止めて水を飲みに行く場合には、またそういう選択をしているわけです。

 

そしてそれが無意識だという意味は、いちいち一つの文章を読み終わったあとに、次の文章に行こうかなんて意識して考えておらず、普通は一つの話が終わるまでは無意識に読み進んでいるということです。場合によっては途中で水を飲みに行くのも無意識かもしれません。このままネットサーフィンを続けてしまうのも無意識かもしれません。

 

このような無意識の選択の連続が、我々の毎日だということです。

 

毎日、毎日ルーティンの仕事とかを繰り返していると、人はあたかも毎日が決められているかのような気がしてきます。実はすべての瞬間を、我々自らが選択していることに気がつかなくなるというのは、人間にとっての最大の認知バイアスの一つかもしれません。

 

我々の全行動のうちの95%は無意識だと言われています。人は脳の90%は使っていないと言われることがありますが、それはこのことが誤解されているのかもしれません。脳を90%使っていないのではなく、脳が無意識のうちに95%はやってくれてしまっているわけです。