⑦脳は安定を望む

・恐怖心の重要性—不快な思い込みが根深い理由。

 

生物にとって「恐れの感情」は生命維持のためにとても重要な感情だと言われています。人間はもちろんのこと、ネズミなどの下等な動物であっても恐れの感情はよく発達していると言われています。

 

それには2つの理由があります。1つは森などで危険な場所や動物に遭遇したときに、それが生命を脅かすものだと察知、感知して素早く身を守るため。2つ目はそういう危険な状況に再び陥らないように記憶し、次回の危険を未然に防ぐためです。

 

1つ目について言えば、森の中を歩いていると何かがいることに気付いた。それは自分にとって危ない存在、敵ではないかもしれないけど、とりあえず警戒しておいた方がいいだろう。

 

つまり、森で出会った何かを安全なもの、あるいは味方だと判断を誤って生命を落とすよりも、多少判断ミスがあったとしても、見たものにできるだけ早く恐怖を感じていたほうが動物には有利なのです。

 

そのようなことから不快な情報は快楽よりも先入観、思い込みによってより増強されやすくなっていると考えられます。そうした負の感情がまず脳の根幹にあり、それに枝葉や飾りをつけるような形で、後から楽しい、愉快といった他の感情が生まれて来たといえるでしょう。

 

不安感や恐怖心というのは生命維持に必要なので、根深いものがあるのは生物進化的にも当然なのです。脳は過度に冒険を求めるというより、より安全に、安全にという構造になっているのです[1]

 

・連合学習ー習慣がつくられる法則

 

外的な刺激とそれに対する反応を関連付けて覚えることを一般的に連合学習とよびます。

 

連合学習の有名な例はパブロフの犬の実験です。犬にベルを聞かせた後にエサを与えるということを繰り返しているとベルを聞いただけでも、犬はよだれをだすようになるというものです[2]。これは一つの脳が安定化、合理化によって、無意識的に反応してしまうことの一つの証となるものです。

 

このことから、習慣づいてしまうこと、トラウマのように怒鳴り声聞いたら動悸がしてしまうなどの現象は連合学習として説明できるのです。

 

この連合学習というのは脳の「最小限度の法則」と同様のものです。それは、脳は合理化、効率化を求めるので1つの反応系が出来上がると、それを当たり前のものとして無意識に処理できるようにするというものです。このことから脳は安定を求める。習慣が習慣として根付いてしまうことが説明されるのです。



[1]脳は何かと p49

[2]シータ脳 p32