⑥脳は変化を嫌う

 

・恒常性維持の本能—変化盲の実験 

 

人間には自分という存在を一定に保つため、自己崩壊を避けるために「恒常性維持の本能」があります。一般的に人間は「変わらないだろうという強い思い込み」があるのですが、それは自己維持のための本能なのです。

 

それを示す現象として「変化盲」と呼ばれるものがあります。変化盲とは字の通り、変化に気付かないことです。変化盲の実験で以下のようなものがあります。

 

スウェーデン・ルンド大学の認知科学者ホール博士は、2005年10月の「サイエンス」誌に報告した論文で、2人の女性の写真を見せて、どちらが魅力的かを選ばせる実験をしました[1]

 

実験では試験者と被験者は机を挟んで向かい合い、試験者が写真を持って提示しどちらが魅力的であるかを選ばせます。被験者がどちらかを選ぶと試験者は2枚の写真を一度机上に伏せて、選ばれた方を前方に押し出して手渡します。

 

この際実は試験者は凄腕のマジシャンで、巧妙なトリックによって左右逆の写真を相手に渡すのです。すると80%の人がその変化に気付かず、しかも選択肢の女性が似ていようが似ていまいが結果には影響がなかったのです。

 

更に、なぜこの女性を選んだのかを被験者に聞くと。人によっては「微笑んでいるから」「イヤリングが気に入ったから」など手渡された写真の特徴を挙げ始めるのです。

 

しかも、最初の写真にはそのような特徴が無いにも関わらずにです。このように、人は変化に気付かないどころか、後づけで自分の行動や好みの理由を生み出して、合理化するのです。

 

・プライミング―ど忘れを思い出す方法

 

 脳にはプライミングという「似た状況をつくる」を作ることによって、物事を思い出すということがあります。ど忘れをしたときに、頑張って思い出そうとするより、外堀を埋めるように思い出していくといいと言われています。

 

例えば、この部屋に来た目的は何だったっけ?というときは元の部屋に戻ってじっと周りの景色を見ると思い出しやすくなります[2]

 

また俳優の名前が出てこないときは、その人が出ていた映画をできるだけ挙げたり、そこで共演していた人の名前を挙げたりしていって、思い出していくといいと言われています。

 

ここから導きだされることは、脳は慣れや、既に知っていること、安定を求めるものであり、新しい環境や情報に適応するのに抵抗があるということです。

 

絶えず脳は知っている場所、慣れている場所に戻ろうとするのです。

 



[1]脳は何かと p94

[2]脳は何かと p90

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コメント: 1
  • #1

    seks telefon (金曜日, 03 11月 2017 18:10)

    czereśniówka