③自分らしさと「脳」

 

・自分ってどこにあるのだろう 

 

自分らしさというのは脳科学的にどう考えられているのか。

簡単に言えば、特定の部位に「自分」があるということはなく、全体のネットワークであると言えます。

 

ただし、一つの事例を通じて前頭葉という思考や創造、判断を担っている部分が人間性、人間らしさを担っている場所だと言われています。脳科学や神経心理学の発端となった、フィネアス・ゲージの例をここで紹介しましょう。   

 

1848年のアメリカのバーモント州で鉄道の建設作業中にダイナマイトの爆発事故がおこりました。その爆発事故で不運にもそこで働いていたフィネアス・ゲージという現場監督の頭蓋骨に長さ1メートル直径3センチの鉄棒が突き刺さってしまったのです。その後の彼は奇跡的に一命をとりとめました。しかし、この事故を前後して、彼の人格が全く変わってしまったのです。

 

まじめに仕事に取り組み、頭も切れたゲージでしたが、事故後は衝動的で一つの目標を達成できない、移り気な性格の男性になってしまいました。

 

これは鉄棒が刺さったときに前頭葉がダメージを受けたためとされています。彼は前頭葉に損傷を受けたために人格が変わってしまい、1つの目標を達成することさえ困難になってしまったのです。

 

その後酒乱や人間関係のいざこざ、各地を転々として38歳で亡くなったと言われています。いわゆるフィネアス・ゲージらしさ、が前頭葉の損傷ですっかり変わってしまったのです。

 

このことから前頭葉にフィネアス・ゲージらしさ、そういう固有性があるのではと推測されるようになりました。このように脳の局部に色々な機能が分布しているという考え方を脳局在論と呼びます。確かに脳の各部位が独自の機能を担っていることが知られてきています。

 

前頭葉は理性や判断など、高次な機能を司る部分として知られています。そこが損傷されたことによってフィネアス・ゲージの態度も大きく変わってしまったのでしょう。

 

 

 

 

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